ソフトウェアとコミュニティ (ペパボでの研修) @ 2024-06-14

2024-06-14ペパボで実施された、おもに 2024 年 4 月入社の人々に向けた研修の資料の一部をここで公開します。テキストコメンタリー付きです。ソフトウェアコミュニティについて話しました。

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  • 自分にとってのコミュニティの入口となったRuby札幌のことは紹介しておきたいところです
    • 人は、最初に見たコミュニティを「なるほど、これがコミュニティか」と思い込む (Imprinting)
    • ぼくがコミュニティについて考えるとき、今でもベースにあるのはRuby札幌での体験です
  • 他にもいろいろあるのだけれど、最近もアクティブに関わっているものとして Ethereum Japan松本市Teacher Teacher のコミュニティのことを軽く紹介しました

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  • ここで、研修を受講するみなさんのことを少しずつ教えてもらいました
  • 趣味やハマっていることなどを教えてもらうことで、このあとの説明を、相手に合わせた例え話に調整するなどしたいと思っています

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  • 中世ヨーロッパでは、ソフトウェアは議会によってつくられるものでした

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  • 現代ではどうでしょうか?

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  • https://stackshare.io/shopify/shopify
  • 一口にソフトウェアといっても規模の大小はさまざまで、ひとりでつくるものもあればたくさんの人たちでつくるものもありますね

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  • https://www.mdn.co.jp/design/features/6616
  • そういった意味で「ソフトウェアの作者」ってのは「漫画の作者」に似た性質を持っているかもしれません
    • 「このアニメは誰がつくったか?」だと制作会社の名前が挙がることが多いが「この漫画は誰が描いたか?」だと個人名が挙がる
  • 荒木飛呂彦さんのことを知らなければ、この表紙を見ても「ザ・ジョジョランズって漫画の 1 巻なんですね」という情報しか読み取れないかもしれない

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  • https://github.com/k1low
  • 御社の k1low さんが開発し公開しているソフトウェア群には、強い作家性を感じています
  • 「こういうソフトウェアが好きなんだろうな」

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  • 受講者のみなさんに「コミュニティってなんだと思いますか?」「あなたの身近にあるコミュニティをひとつ教えてください」と問いかけて、いっしょに考えてみました

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  • 書籍『People Powered』にて Jono Bacon はこんなふうに説明していました
  • 日本語訳の方から引用しています
    • ジョノ・ベーコン. 遠くへ行きたければ、みんなで行け ~「ビジネス」「ブランド」「チーム」を変革するコミュニティの原則 (p.45). 株式会社技術評論社. Kindle 版.

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  • さて、今日のこの場では、コミュニティを「資産を共有する集まり」と捉えて、以降の話を展開してみたいと思います
  • sasakill さんは「狭義に」と前置いていましたが、ぼくが思い浮かべるコミュニティはどれも、この定義にもとづいて説明できそうで、言うほど狭い定義にはなっていないと感じています
  • 個人的にとても好みの定義です

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  • 先に紹介した、ぼくが参加しているコミュニティの一部です

  • それぞれのコミュニティにおける「共有している資産」は、なんでしょうか?

  • たとえば 2007 〜 2008 年をふりかえって思い起こす当時のRuby札幌の資産は「札幌で Ruby やソフトウェア開発について楽しく盛り上がれる場」と言えるんじゃないかと思います

  • 研修当日は、他のコミュニティについても具体的なエピソードを交えながら「このコミュニティには、こういう資産がある」と紹介していきました

  • 資産、つまり「なにかを大切に想っている人々」の集まりなわけなので

    • 資産価値を高めるような関わり方をしたら、よろこばれることでしょう
    • 資産価値を毀損するような関わり方をしたら、いやがられることでしょう
  • 「これは自分も大事にしたい!」と思えたら、そういう気持ちで関わっていったらよいと思います

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  • もしペパボに身を置くみなさんが「ペパボには、共有している資産がある」と感じているならば、その資産の周辺にコミュニティが存在していると解釈できるでしょう
  • 会社も、コミュニティのひとつの形態であると言えますね
  • ところで、すでに退職しているぼくも「ペパボに縁のある人々」との間で共有しているナニカがあると感じています
    • かつていっしょに働いていた人をキマグレエフエムというポッドキャスト番組をやっていたり
    • かつていっしょに働いていた人と、今は別の現場でごいっしょしていて「仕事しやすい!」と感じていたり

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  • ぼくから見て、ペパボという会社は「コミュニティ」として運用されているように見えています
  • みなさんが入社してからこうした研修や実践を通じて体得していっている「会社との、いい付き合い方」があるんじゃないかと思います
  • 「会社で、こういうことをするとよろこばれる」と感じられるものがあれば、それは他のコミュニティでも同じようによろこばれる可能性が高いと思います
  • もちろん、バイブスが合わないコミュニティはあるでしょうから、差異に興味を持てたら探求してみるとして、どうしても合わなかったら無理に付き合うことなく距離を置けばよいでしょう

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  • ここからは、事前に周知させてもらったアンケートへの回答の一部を見ながら、御社の人々がコミュニティからどんなものを受け取っていると語っているか、いっしょに見ていきましょう

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  • 回答内容のすべてに目を通してサマライズしていたら、自分にとっておもしろい発見がありました
  • 回答してくれたみなさんが「コミュニティから受け取っているもの」として挙げてくれたものの半分以上は、なかなか捉えどころのない、感覚的なものでした
  • 「情報」「知識」「知見」のようなものは、わかりやすく扱いやすいと思います
    • なんだったら、コミュニティに参加しなくても、その場に行かなくても、コピーされたものを受信できそうです
  • 一方で「刺激になった」「視野が広がった」「楽しかった」などは極めて主観的で、曖昧で、これをそのまま聞かされても「そうなんですね」くらいのことしか言えないかもしれません
    • だからこそ、自分の身を投じて参加する意味がある、ということでしょうか
  • 特筆すべきは、回答してくれたのは「言語の扱いに長けた人々である」ということです
    • 語彙力がなくてこういった回答になっているわけではない、とぼくは見ています
    • 言語を扱うことを生業とし言語感覚に優れた人たちが「身体感覚」に強く紐づくであろう「刺激」「視野」といったことをしきりに言っているわけで、これはおもしろい状況だと思いました

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  • ぼくの考えもうまくまとまっていない感覚はありつつ、2024-06-14 の時点でのスナップショットをお伝えしました
  • これまで「言語化は大事」と主張してきた回数は数知れず、だけれども…?
    • 業務でソフトウェア開発に関わるとき、実は「身体知」も使いまくっているかも、と研修準備中に思い至りました
    • プロダクトのミーティングに出ていて「なんか、この場は仕切り直した方がよさそうだな?」と感じたり
    • 「これは Slack 上のテキストでの会話を続けずに、ボイスチャットで話した方がよさそう」と感じたり
    • 「この Pull Request は、なんかよろしくない雰囲気がある…」と感じたり
    • もちろん、こうして検知したものを他者に伝えるときには整理して言語化した上で伝えますが、検知自体は、肌感覚でやっているんじゃないかと思います
  • アジャイルソフトウェア開発を実践するとき、身体知を駆動しまくっている感覚があります
    • みなさんはどうですか?これはいろんな人と話してみたいテーマです

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  • 最後に、受講者のみなさんを “あなた” として、ここまでに展開してきた材料を組み合わせながら、いただいたお題にひとつずつ回答していく時間を過ごしました

追加 DLC

2024-06-15 に収録したキマグレエフエムのエピソードで、研修当日にカバーできなかった部分を話しました。 【224】コミュニティ産 - キマグレエフエム - LISTEN に、コンピュータによる書き起こしもあります。

[https://open.spotify.com/episode/3J0svL4lIBqvwwdNwhpTAl

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