それっぽい概念を獲得すると、そこに吸い寄せられる
人間たちをなんらかの軸をもってして空間上にマッピングしたとして。
「空間上のこのあたりにいる人の特性を◯◯と呼びます」が広まると。
ちょっと離れたところにいる人々も「あ、自分これかも」となって、現実がそっちに吸い寄せられるようなことがけっこうあると思う。「そうかも」と思うことで、実態がそっちに近付いていってしまう。
上記の例では「人間」「特性」を扱ったけれども、人間に限った話ではなくて、あらゆる事象においても同じような吸引が起こっているのではないか。格闘ゲームで新しい技を覚えたら無闇に繰り出したくなるし、新しい概念を獲得したらそれっぽいものを見たときに「これは◯◯じゃん」と言いたくなるものだ。
新しい概念の獲得が、現実をより精緻に捉えることに貢献することはよくある。ただし、過解釈には気をつけなければならない。とくに流行り言葉やバズワードの類は、過解釈をそそのかしてくる。
多くの人が使うようになった結果、扱いがむつかしくなった言葉たちのむつかしさの一部は、過解釈によってもたらされているように思う。