マスキュリズム
#2018-05-25 #言葉
マスキュリズム(英: masculism)とは、男性に対する性差別(男性差別)の撤廃を目指す思想や運動である。直訳すると「男性主義」であり、かつての欧米では男尊女卑という意味で使われていた言葉だが、この思想の主唱者であるワレン・ファレルがフェミニズムの対置概念として提唱してからは現在の意味で使われるようになった。主に西ヨーロッパと北アメリカで普及しており、中東や極東でも萌芽が見られる。
マスキュリズムは、性役割に基づく男女の区別を男性差別と見なすか否かで左派と右派に分かれる。
両派に共通するのは、現代社会は男尊女卑だという社会観の否定である。この他には以下のようなことが主張されている。
徴兵制などの身体的な男性差別を、男女間の体力の平均値の差を論拠にして正当化することはできない。女性並の体力しかない男性への配慮が欠けており、それ以外の男性に対しても体力差を超えた負担が課せられるためである。 もともと参政権は、男性が徴兵制の対価として獲得したものであり、女性にだけ無条件で参政権を与えることを目指した近代の婦人運動は、明らかに間違っていた。女性参政権が浸透した現代における男性のみの徴兵は、権利と義務の均衡を失っているという観点からも不当である。 経済力の男女差は両性の収入ではなく支出をもとにして算出すべきである。一般的な夫婦の場合、金銭を稼ぐのは夫だが用途の決定権は妻が握っている。 男性が多数を占める地位・階層は政治家や経営者だけではない。兵士、土木作業員、自殺者、戦死者、過労死者、野宿生活者の多数もまた男性である。 男女の平均寿命の差異は、生命力の男女差という生物学的な要因のみならず、上述の社会学的な事情も深く関係している。 男女がともに不利益をこうむっている社会問題について、さも女性だけが苦しんでいるかのように述べるのは間接差別である。ファレルは家庭内暴力などの被害者を女性に限定して議論を進めることを批判し、こうした議論が不当な立法や行政を促進していると指摘した。